
平成27年新調 我孫子 地車 正面土呂幕
朝比奈三郎の奮戦
鎌倉幕府の侍所別当・和田義盛の三男・朝比奈三郎(和田義秀)。 館の中で敵方を相手に馬上から鉄棒を振り回し、群がる敵兵を手当たり次第に討ち取る朝比奈三郎。 奥板には、敗走するの北条義氏を配した。
この土呂幕では、普段とは異なる松葉の割り方(松葉を表す放射状の筋の数)を採用した。 私が修行した木下彫刻工芸では、松葉の割り方を少なくして彫りを深くする。通常はこの手法を用いるが、今回は、彫りは少し浅くなるが割り方を増やし、松葉の繊細さを強調した。これには、主人公である朝比奈三郎の存在感を際立たせる効果がある。
物語の場面上、豪快な振る舞いが求められるが、それに引きづられると、土呂幕という横長の部材を活かしきることができない。そのため、いつも以上に、馬、人物、松の枝ぶりなどの収まり具合に気を配って構図を考えた。
----------------------------------------------------
余談ですが、木下時代から、ここぞと言う作品には、どこかに私の名前の「申」に因んで「猿」を彫り込んでいました。しかし、この場面に猿はそぐわないので、悩んだ結果、朝比奈三郎が持ち上げている敵兵の顔を猿にしました。これは、地車を捌いた時(修理などで解体した時)にしか見ることができません。
申の顔をした敵兵、見てみたいです。 雪だるま、かわいいですよね。
細かな刻みと滑らかな面との配分が良いのでしょうか…うるさ過ぎず、おとなし過ぎず。朝比奈三郎の余裕のある表情もいいですね。
主役の朝比奈三郎が際立ってみえますね。マツやそれに絡みつくキヅタ、馬の下にあるカシワの枝ぶりや配置が美しいです。